どこにもいけない。
目下リンクゾーンにある『こつこつ』で絵の練習してます。
>くろうさん
ご心配いただいてありがとうございます。マジ痛いです何ぞこれ! 採血平気なんですか(震)!私は…書くのも描くのも大好き、映画も写真も平気、鼻血とかおにゃごの悩みは大丈夫なんですがどうも普通の出血だけは駄目です。あと痛いのも駄目です。こういう体験をすると創作で痛いことするのは本当によくないなあ、って思います(でもすぐ忘れる…)。 今は経過を様子見の状態です。一週間過ぎてもよくならないようだったら云々とか…。利き手じゃないのがせめてもの救いですが、日常生活庇って過ごすことになるので不便利極まりないです。 くろうさんもお体気をつけて!メセありがとうございます! ぱち下さるかた、本当にありがとうございます。励みになります! PR 2009/07/13(Mon) 23:33:36
「まぁ、ちょっとはこうなるんじゃないかなって思ってましたよ…」
「………」 「先輩、6月生まれだし。梅雨だし。」 「…………」 「若干陰湿だし」 「少し待て」 柚木は湿気ゼロ、冷房にすれば18℃急風の声を出した。ちっとも地球にエコじゃない声音。 □□□いすゞくれづき・番外 江ノ電の某駅に二人はいる。外は雨筋が見えるくらいのどしゃ降りで、水のカーテンに透けた木々はそれなりに情緒があって綺麗だった。 大した両数もないのにホームは妙に長く見えた。先はやがて線路に変わり、住宅街と緑、その先の海へとすう、と吸い込まれている。平日の、まだ高校の下校時刻には少し早い。柚木は講義がなく、香穂子は選択科目で空きの日に、かねてからの約束で出掛けることになった、のだが。 横浜を出て鎌倉方面に差し掛かった辺りで曇り空はますます範囲を広げていき、雲は分厚く濃くなった。駅舎に入った辺りで耐えかねたように一粒、滴が落ちると、後はなし崩しの急雨になってしまった。久しぶりに逢えた彼氏そっちのけではらはらと空を見上げていた香穂子は分かりやすく落ち込んだ後、―――なんと怒り始めた。 降水確率10パーセント、午後いっぱいの曇りの筈がしっかり雨になったのは、なんと柚木の、所為だと言う。 「聞き捨てならないことを言うね…。誕生日祝いに責められている気分になるよ、日野さん」 「…先輩が雨男だから」 「……」 そんな俗説に基づいた非難は受け付けておりません、と柚木は言いたかった。声を大にして主張したかったが、完全な否定は何となくできなかった。あくまで何となく。 「前にデートした時も雪だったし」 「あの日は前から降るって言ってただろ」 「クリスマスも結局どか雪だったし」 「あれは俺じゃなくても」 降る設定なのだが大人の事情で最後まで口には出来ない。 夏日の晴れが似合うのはきっと火原や土浦なのだ、それは理解できている。加地はどうでもいい、この際でもどの際でも。ただ自分がぎらぎらの直射日光や波の寄せ返る湘南のビーチ、眩しく光る白い歯、浅黒い筋肉とあまりご縁がないのは事実だ。柚木だってあまり御近づきになりたくはない。しかしすべての雨天を自分の所為にされると、参ってしまう。 「それに、どうせ電車だから雨は関係ないだろ」 ぺたりと首筋にまとわりつく髪を払いのけながら素で吐き捨てると、香穂子は伝染したように鬱陶しげに手をうなじへ遣った。アップに纏められた赤い糸のおくれが少女の指に絡む。慌てて腕を降ろしていた。 いつにない癇癪を柚木は不思議に思った。大抵香穂子は我慢の子で、喧嘩をふっかけてやったり、柚木が余程の理不尽を強いなければ本音を仕舞ったままのこともある。今日はめちゃくちゃを言っているのはむしろ彼女の方だった。 「でも…」 屋根をばたばたと叩いて弾ける雨音に混じって消えそうな呟きに、柚木は眉を僅かに寄せた。 「でも、なに」 「でも海…」 「そんなに行きたいなら傘さして行けばいいだろ」 柚木の誕生日祝いの『お出掛け』は、あくまで香穂子が柚木を連れて来ている、という方式をとっている。私の行きたいところじゃお祝いにならないじゃないか、と反論する彼女に、まさか天羽経由で色々受け取ったのだとは言えず、 『お前が行きたいところでいい』 『俺がいいと言ったらいいじゃないか』 と我ながら薄ら寒くなるような返答で説き伏せた。その結論が、海。それから電車。 「花火みたいに雨が降ったら駄目になるもんでもない。足元はひどいことになるだろうけどね、いやならやめればいいだろう」 探るように下で唸っている恋人を見れば、唇を尖らせてむくれていた。まるで子どもの八つ当たりだ。 (「……そうか」) 「八つ当たりか、お前、それは」 細い肩がぴくんとぶれる。恐る恐るといった風情で蜜色の双眸が柚木を見上げた。腰に手を当てふんぞり返った自分と目が合った途端、すぐに逸らしてしまう。 「…香穂子」 彼女にとってのスペルバインドは柚木が呼ぶ彼女自身の名前、なのかもしれなかった。より一層硬化した動作で、物言いで、ぎこちなくぽつりと言う。 「手が繋げない」 「………」 沈黙。 「傘が邪魔になるから」 「…やろうと思えばできないことはないだろ…」 あまりの理由に柚木の返事すら馬鹿げたものになってしまった。目眩がする。駅舎の柱に寄りかかって、何でもないふりで深呼吸。 手が繋げないから。 「お前何か悪いものでも…いや、そうじゃなくて」柱よりベンチに掛けてしまった方が良かったのかもしれない。「海で、そういうことしたかったのか」 段階をふっとばした結果、比較にもならないようなことは幾つも体験済みだ、それを今更。 「…たまには」 その手の古典少女漫画的思想を恥じ入ることなく、香穂子は視認できるほどの雨粒をぼんやりと眺めている。天候の所為か、精神的なものの所為なのか、線路側に進み出た後ろ姿は萎れて見えた。 やがて、水飛沫をあげながら電車がホームへ滑り込んで来た。風はあまり強くないから終点だろうが折り返しだろうが幾らでも、きっと乗れる。姿勢を正し、歩み出すと風圧に揺れる少女の背を、そっと支えてやった。 「……今日は電車で我慢しなさい」 「先輩はそれでいいんですか」 先輩の誕生日なのに、と。乗る素振りをみせない二人を不審そうに横目で流しながら初老の女性が乗り込んでいく。 「またの機会ができたと思うさ」 色々と恥ずかしい台詞が思い浮かんだけれど流石にやめた。それに事実には違いない。理由がないと何も出来ないなら狭隘なことだが、言い訳のストックくらいあった方が楽なこともある。背中から肩へ掌を移してゆるく擦ってやると、引き寄せられたみたいに香穂子は近くにやってきた。俯いたままなのが可愛いやら腹立たしいやらだった。せっかくの時間を無駄にするつもりはない。不本意ながら、(あくまで仮に、だ)身から出た錆だとしても。 「それに今日が雨なら次に来たときはきっと晴れてる。…お前の気合い次第だけどね」 「…?」 不思議そうに顔を凝視してくるので、電車へと促しながら笑いかけた。 「ね、晴れ女」 泣いた烏が笑った、の言葉の通りに少女の面が明るくなる。柚木の親友と同じくらい、晴天が似合う女。くだらないジンクスも香穂子に掛かれば現実になってしまいそうだ。 「今日だって気合い入ってたのに…次は手加減してくださいよね」 冗談か本気か、柚木のシャツの裾を引きながら言うので、 「…ま、頑張って」 と軽く小突きながら返事をしてやった。雨の海岸で傘を差しながら歩くのもそう悪くはないかも、と考えながら。 2009/07/13(Mon) 11:04:36
世の中に注射が好きなひとはそうはいないと思います。採血が好きなひとは稀にいるみたいですが…。
因みに私は両方嫌いです。リアルMはいやだ!(精神的Mはどんとこい) しかし健康診断に採血はつきもの…。血を採られると貧血で引っくり返ってしまうので、ここ数年は断念していたのですが、今年はちゃんとやりたい!(そんな意気込むことでも)と思って受けました。 スプーンひとさじだから!と医療センターの人々は口を揃えて言います…量の問題だけじゃないんだ…と脳貧血対策に寝ながら採取。うん私頑張った! ここまではよかった。 次の日とられた左の腕が全体的にぼんやり、指に力が入りません。採血ってこんなもん?と思ってたら職場の皆さんは違うって言う!血止めテープを剥がしたら(これもすぐとるみたいですね)大々的に青痣が…。 学内保健部言ったら病院に電話しはじめてびっくりしました。神経がどうとかって!やめて私明日泊まりで出張なんだけど!と叫ぶと、 「様子がみたいので明日出張先の最寄りまで行きます」 本当に来た…。 駅の改札で診察されたのは生まれて初めてです。きっとこれからもないな! とりあえず色々処方されたので言われた通り塗ったり飲んだりしてます。プラシーボ的にも大事。左腕で利き手じゃなかったのがせめてもの幸いでした…。こうやって携帯も打てるし。 但し研修では情けなく悪目立ちしています。聞かれるたびに説明をするので情けなさ倍増です。 明日は朝から発表とディスカッションです。頑張ります…。早く原稿やりたい! 2009/07/11(Sat) 00:16:33
□□そらのうえはきっと/STAR FESTIVAL 「さいるいうって言うのよ」 ぴんと来なくて鸚鵡返しに聞いてしまう。サイルイウ? 察しの良い彼女は電話口で小さく笑い、催涙弾と同じに書くのだと教えてくれた。情緒がなくなりますね、とひっそり眉をしかめる面差しが容易く浮かんで、胸の中じんわりと甘く、苦しくなる。 「今日みたいに七夕に雨が降ると、織姫と夏彦は逢えないでしょう?だから涙を催す、で催涙雨」 因みに前日の雨は洗車雨と言う。逢瀬を前にして、川を渡る車を男が洗うからなのだと、昨日教職論の授業で先生が言ってた。男はいつの時代もまめなやつがもてるんだとか何とかぼやいていたけど、オレは自分だったら、次の日もその調子で雨になったら凹みそうだな、なんて考えていた。あれ、でも天の上で車を洗ってるから、その水が落ちて、オレたちは傘が要る訳で…。 あ、ちょっと訳わかんなくなってきた。 「な…夏彦って牽牛のことだよね」 「そう」 昔、それこそ保育園で七夕飾りにじゃれていた頃から、ちょっと今に近づいて高校時代の中程まで、俺の中で牽牛はケンギュウ、だった。別に知らなくても死んじゃったりはしないけど、知ってたら彼女に「ね」って言えるようなことを教えてくれたのは親友だったり香穂ちゃんそのひとであったり。 「今年は逢えなかったんだね、織姫とナツヒコ」 「そうなりますね」 そして香穂ちゃんはちょっと黙った後、 「…でも、もしかしたら天の上は晴れてるのかもしれない」 と言った。彼女の一言はオレの疑問にこつりと当たる。 「そうだよね!だってさ、雲の上ってずっと晴れてるから変だなと思って…」 だったら二人が天気の所為で逢えない日はなくなる。あれ、でもこれも何かヘンだ。 「…科学の時間とおとぎ話がぐちゃぐちゃだわ、せんぱい」 「今瞬間すっごいあたま痛くなった!」 「あはは…わたしも」 寄っ掛かる窓の外は梅雨を引っ張った雨がだらだら続いている。大学の夏休みは長くて、2ヶ月くらいある(その前に恐怖の定期試験だ)。初めての夏休み特大号だけど、香穂ちゃんにとっては大事な中盤戦だ。今年の夏はオレが我慢する番――って、去年もうずうずしてたのはオレの方、かな。 彼女のことになるとオレの堪忍袋の緒(そういや袋の緒ってなんだろ。ヒモみたいなものかなぁ)はすごく細く脆くなるんだ。 「堪忍袋じゃなくて忍耐力じゃないの」 「あ、そうそう、多分そんな感じ…」 声のトーンが変わったのはきっと照れているから。掠れてちょっと怒ったみたいな声音になんだかぞくぞくする。 逢いたい。 外は雨だ。この闇空を不思議な灰混じりにしている雲の上は、カガクテキにはいつでも快晴で、歩いてだって渡れてしまうかもしれないのに。 何か喋ろうとしても「あいたい」しか言えなくなっていて、思わず口をつぐむと香穂ちゃんまで黙りこくってしまった。耳にあたる機械だけがどんどん熱くなっていく。 「…あいたい」 「え、」 オレの心を電波が届けたのか、と錯覚するタイミングで小さな小さな香穂ちゃんの声。聞き過ごしてしまいそうになったのは、すぐに凛としたいつもの調子が追いかけてきたからだ。 「…なんて無理ね。忘れて、和樹先輩」 「わ…忘れないし無理じゃない!」 例えば七夕なのに雨で残念だね、ってメールして、折り返しに電話が掛かってきた時からどこかでこうなればいいって思ってた。そうばらしたら君は怒るかな。 「終電まだ間に合うし、ファミレスだって開いてるし、香穂ちゃんが待ってくれるなら」 歩いてだって。 「いいよ、って言って。だから」 君も同じだったんだって、もう一度でいいから確かめさせて。顎に携帯を挟んで、椅子に引っ掛けてたジーパンを片手で掴む。かずきせんぱい、と対岸からオレを呼ぶ手は自分を甘やかすふりで多分、オレのことも赦してる。 「……きて」 天の川を抱える空の上はきっと、いつだって晴れている。 2009/07/08(Wed) 23:20:21
>火原作品
メセ、ありがとうございます。以前火原作品でお声を掛けてくださった方でしょーか! ここで火原の為に来てくだすっている方がいるなんて、感涙の極みです…!何処を見回しても仰るとおり、柚木ばかりのサイトですので…。火原も大好きなんです、が、180°頭のきりかえをしないと書けないという。3-Bと日野、という取り合わせで書くのが一番健やかにいけるような気もいたします。 鍵、鍵…多分「パンドラの鍵」という火原誕生日創作だったかと!懐かしい!鍵を囓ったんだか呑んだんだかしてました、はい。よく憶えておられますね!嬉しいです~。若さの勢いで書いたものなので、確かかなりあり得ない導入になってた記憶があります。他の作品もそうなのですが、挙げる前に訂正加筆をしないと昇天しちゃいそうになるので、ちょっと落ち着いたら挙げたいな、と思ってます。お待ち頂けているのが嬉しいのでしっかり出させて頂きます。 カニバニの方は、実は「むしやしない」というオフラインの本で再録をしたと思うので、サイトへの再掲はしない予定です。申し訳ありません。ただ、元々暗黒は火原創作の為に作ったもので、書きたい話があるので今後も更新します。お気に召して頂けるか段々怪しい展開になると思いますが、読んで頂ければ幸いです! 丁寧なメセ、有難うございました。長々とすみません! 他メセなしぱちの方も、いつも本当にありがとうございます。励みになります。 2009/07/07(Tue) 01:43:32
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